前回のコラムでは課題解決型の幹部育成研修の成功イメージを3つの視点(「提言の品質」「社内外ネットワークの深化」「受講者へのインパクト」)から考察しました。今回はこのような理想的な状態を達成するために留意すべき点は一体何なのか、当社が関わった過去20以上の事例から5つ大事なポイントをご紹介したいと思います。

ポイント1)運営事務局のリーダーシップ

ポイント2)参加する受講者の選定とグループ分け

ポイント3)受講生の提言の取り扱い

ポイント4)プログラムを継続させるためのリソースの確保

ポイント5)講師の選定

本日は最初の2つのポイントについて考察をしていきたいと思います。

成功のポイント その1
運営事務局のリーダーシップ

まず重要なのは研修を企画・運営する事務局の熱意と行動力です。最初にプログラムを立ち上げた事務局メンバーはやる気に満ち溢れているケースが多く、受講生のフォローなどもしっかり行うため、受講者にもその熱意が自然と伝わり、研修が盛り上がりますが、事務局メンバーが変わると十分な引き継ぎがされずトーンダウンするケースが見られるので注意が必要です。

特に、事務局の動きとして重要なのは経営層を研修に巻き込む力です。やはり最終提言を発表するメンバーの中に社長や経営層がいるかいないかでは受講生の力の入り方も変わってきます。社内の経営層やキーマンを研修に早い段階から巻き込み、会社としての取り組みに昇華させていく事務局のリーダーシップが求められます。講師ともコミュニケーションを取りながら、状況に応じてプログラムの内容を軌道修正していくことも必要な場合があります。

成功のポイント その2
参加する受講者の選定とグループ分け

このタイプのプログラムでは受講者間でグループをつくり自社課題の検討を行うため、やはり受講者の選定とグループ分けが検討結果の品質に影響します。

受講者の選定は部門推薦や人事選抜で各部門からバランスよく集めるケースが一般的ですが、選抜されても「なんで私なんだろう。忙しいのに」とか「いまさらこんな研修受けるのか」というネガティブな気持ちのまま研修に臨む受講生も少なからず混じっている場合が多々見られます。

もちろんこのような受講生に関心を持たせるには講師や事務局の力量も問われるのですが、もう一つの工夫として検討する価値があるのは完全な選抜型にせず、一部公募(手上げ方式)で受講生を集めるというやり方です。自ら手を挙げて参加するメンバーは最初からモチベーションが高い状態で研修にも積極的に参加するケースが多く、こういった受講生に引っ張られて他の選抜型メンバーの参加意欲が高まる好循環が生まれます。

受講者でグループを構成する際にもこのような熱意のあるメンバーを散りばめるとグループの検討が活性化しやすいのでグループ構成をする際に考えておくべきポイントです。

次回のコラムでは残り2つのポイント(「受講生の提言の取り扱い」「プログラムを継続させるためのリソースの確保」)について考察していきたいと思います。

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