コラムの初回は課題解決型の選抜型幹部育成研修について考察したいと思います。当社では年に3-4回程度、過去9年間このタイプの研修を行っており、累計で20社以上の企業(主に上場企業)と関わりを持たせて頂きました。新しく同種のプログラムを検討される企業からもよく頂く質問である本テーマについて今回から取り上げていきたいと思います。

今回は選抜型育成研修の典型的なパターンをご紹介したうえで、何を研修の中で達成できるとよいのかについて成功の判断基準をご紹介したいと思います。

典型的な課題解決型の幹部育成研修のイメージ

今回検討の対象とする研修の代表的な例は以下のようなものです。

  • 30 – 40代の中堅層を10 – 25名程度選抜(主に部門推薦や人事部が候補者を選定)
  • 講義だけではなく、受講生3-5名程度でグループをつくり、自社の経営課題を取り上げ、経営層に対して提言を行う(個人別に課題設定をして、進めるケースもあり)
  • テーマとしては普段の日常業務では解決し難い中長期で解決すべき重要経営課題を各受講生グループが設定して、解決策とセットで経営幹部に提言するケースが多い
  • 上記の内容を4-6回の集合研修を含む4-8ヶ月程度の期間で実施
課題解決型研修の成功の判断基準

過去の事例の中からこのようなプログラムが成功し継続した取り組みとなっている場合もあれば、残念ながら必ずしも満足のいく結果が得られなかったケースもあります。何を持って「成功」とするか、過去の経験から当社では「提言の品質」「社内外ネットワークの深化」「受講者へのインパクト」という3つの点が達成できているかという視点を特に大切にしています。もう少しそれぞれの具体的な成功イメージを見ていきたいと思います。

1.提言の品質

受講者が行った幹部に対する提言の中で少なくとも1~2つは幹部を納得させるレベルの品質になっており、会社のアジェンダとして継続検討される。具体的には幹部がその場で「この提言はすぐに経営会議で議論してほしい」などの指示が出される状態が達成される

2. 社内外ネットワークの深化

部門横断的な受講者間のつながり、通常業務では接することのない新たな社内外人脈の構築が研修を通じて達成できている

3.受講者へのインパクト

参加した受講者の満足度が高く、スキルだけでなく業務に対するモチベーションや会社へのロイヤリティを向上させた状態が達成できている

この3つのつながりとしては1つめの提言の品質を高めるための活動を受講生が真剣に行う中で2番目のネットワークが形成され、それが結果的に3番の受講者の満足度やモチベーションアップにつながってくるという関係になっていきます。その意味でも研修という名目ではありますが、「会社を本気で変える」、「新しい事業をつくる」という目線をぶらさずにアウトプットの品質にこだわることは重要になってきます。 次回のコラムではこの3つの状態を生み出すためにどのような点に留意しないといけないか押さえるべき成功のポイントを考察していきたいと思います。


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